TOP2005年記録

飯豊前衛のちょっと小粋な沢

飯豊連峰/内ノ倉川四十八沢右俣〜師走沢下降 (沢登り)

手嶋

【日時】2005年7月30日〜31日
【メンバー】手嶋(L)、大野、佐貫

 やはりこの時期、毎年一度はここに来なきゃあ、ということで、また飯豊前衛を企画した。この山域は手頃な3級クラスの沢が並ぶ。もちろん中にはもちょっと難しいのもあるが、あまりはずれはない。今回は6名集まったので2パーティで分散することにした。ただ事前の天気予報が良くない。どんなものか。

7月30日
 前夜は内ノ倉ダムへ上がっていく分岐のところにある、トイレのある小さな広場に泊まった。ここはこの方面へ行くにはなかなかいいところだ。朝内ノ倉ダムの奥まで車を入れる。ダムに満々と湛えられた水、異常に水が多そうだ。
 ダム奥から内ノ倉川沿いの道を奥へ入る。昨晩の雨のせいか、本流は水量がすごい。始めは車の通れそうな林道だが、やがて山道になりさらにだんだんと道は悪くなる。1時間ほどで焼峰沢を渡る。ここで棚橋パーティと別れ、我々はさらに先を行く。道はさらに悪く、ところどころで失いそうになる。
 石ミキ沢の大きな切れ込みを確認しながら、道はそれに沿って石ミキ沢方向へ。ついに道がわからなくなり、ちょっとしたルンゼから本流に降りることにした。ロープが張ってある。降りてみるとそこは前回石ミキ沢を溯行した時にまさに降りたところだった。ここで道が対岸に渡っているようで、そちら側にもロープが垂れ下がっていた。
 石ミキ沢の溯行を始める。すぐに右手に目指す四十八沢が、岩を割って奥に滝をかけて入る。この滝は登れないので、本流を少し戻って弱点をついて壁を登り、最後は懸垂で四十八沢に降りることに成功。結構時間を要した。
 四十八沢の溯行は始めは退屈なゴーロ。しばらくして現れる6m滝は右から巻く。この沢は滝が結構多く高巻きも多かったが、概して木が下まで来ており、疲れるけど巻くのは困難ではなかった。
 やがて右に顕著な支沢を分けると、地図から想像していた連瀑帯が8m滝を皮切りに始まった。この滝は直登、そして現れる2段20m滝を登り、2段15m滝は左の見た目よりずっと悪いリッジを大野がザイルを引いて突破。すぐに登れない6m滝が現れ、左手より巻きに入る。この上にもいくつも滝が連続し、降りても登れない可能性もあるので、まとめて巻いた。
 小流のところでおりるといくつか滝を登り、樋状10m滝を右から巻くと左俣との大きな二俣へ。ここの左岸に、両岸が立ったこの沢としては考えられない素晴らしい平坦地があり、やや時間が早かったがここを幕営地と決めた。ここまで雨は降らず、さらに天候もすでにほとんど晴れて来て、結局この晩も翌日も雨は一滴も降らなかったのであった。私が担当だったタープを忘れてしまったので、責められずに幸運だった。

7月31日
 早起きをしようと思っていたがやや寝過ごし、しかしそれでも6時過ぎには出発することができた。6mの滝を皮切りにまだまだ滝は続く。登れないものが多い。2段10mの下段では大野は左壁を登り、私と佐貫は右を高巻いた。
 2段15m滝を最後に滝らしい滝は終わり、源頭に入る。小さな滝をいくつかかけるものの問題ない。水量が意外と奥まで減らなかったが、泉になって水が湧き出していた。テント場からちょうど2時間で加治川との間の稜線に飛び出す。ここは見事なブナ林だった。悪天の予想にもかかわらずいい天気。この後ものすごい暑さに悩まされる。
 師走沢へは急な樹林帯を下る。意外に早く水流にたどり着き、これを下り始める。流れはどんどん太くなりやがて初めての滝、6mが現れる。これはほとんどクライムダウン。滝は少しずつ多くなり不安と期待が入り混じる。四十八沢と異なり、こちらはもう少し明るい感じ、すなわち言い換えれば木が下まで覆っていない感じで、いわゆる越後風の様相はこちらの沢 の方が上だ。今のところは横の木伝いで降りられてはいる。
 3段6mの下には連瀑が現れた。ルートをよく見るが、途中までは行けそうだがその下がわからない。右から巻いて降りた方が無難である。右岸から滝をかけて落ちる沢との分岐にうまく降りられた。しかしそこからはさらに滝が続く。再び連瀑である。ここも右の樹林帯を巻いて降り、最後は10mの滝身を懸垂して沢に降り立った。見事な連瀑帯であった。地図から予想できるものであり、100m近くの標高差があったと思われる。おそらく登れる滝も多く、溯行したら面白いだろう。それにしても暑い。
 小滝をいくつも連ねていくと、ようやく左俣との二俣に到着。水量を見ると我々の下った右俣が本流のようである。左俣は焼峰方面に突き上げ、源頭部はスラブ帯になっているのが以前確認できたが、登られているのだろうか。
 ここからは滝を3つほど巻き降りるとあとはほとんど何もなく、晴れ渡った空の下、暑さにあえぎながらちょっとした釜でも水につかりながら下降を続け、大堰堤の右から踏み跡をたどって加治川林道に達してめでたしめでたしとなった。最後ゲートのところで、すでに下山して車をまわしてくれていた棚橋、小暮、木下の面々が出迎えてくれた。

【行程】
7/30 内ノ倉ダム奥(8:00)〜石ミキ沢入渓(10:05)〜二俣テン場(14:10)
7/31 BP(6:05)〜稜線(8:05/8:20)〜加治川林道(12:25)
【地図】二王子岳、蒜場山
【グレード】四十八沢2級上、師走沢3級